✅ 結論

最近の研究や現場でのトレーニング実践から、「垂直ジャンプ(バーティカルジャンプ)」と「ラテラルジャンプ(横方向のジャンプ)」の能力が、ピッチャーの球速と深く関係していることがわかってきました。
特に、筋力・パワーの発達段階にある高校球児にとって、下半身の爆発的な力を鍛えることは、球速アップへの最短ルートともいえます。
今回は、ジャンプ力と球速の関係を科学的根拠をもとに解説し、さらに実践的なトレーニングメニューも紹介します。
「球速を上げたい」「しっかり成果を出したい」そんな選手・指導者の方は必見です!
🎯 なぜジャンプ力が球速に関係するのか?
ピッチング動作の出発点は「地面反力(Ground Reaction Force)」です。
•地面を力強く蹴ることで得られるエネルギー
•そのエネルギーを、下半身 → 体幹 → 上肢へと伝える「キネティックチェーン」
この連動の中で、ジャンプ力は「力の発揮」と「伝達力」のバロメーターとなります。
特にラテラルジャンプは、「後足での横方向への踏み込み」や「体重移動の爆発力」といった、ピッチングのキーポイントと深く関わります。



🏋️ トレーニングメニュー
垂直+ラテラルパワーを同時に鍛えるための、週2~3回の実践メニュー例
① Lateral Bounds(ラテラルバウンド)
•片脚ジャンプで横へ跳ぶ
•目的:片脚での横方向への力発揮能力
•実施:3セット × 10回/脚
② Lateral Box Jumps(ラテラルボックスジャンプ)
•横方向からボックスにジャンプ
•目的:爆発的なラテラルパワー
•実施:3セット × 8回/側
③ Broad Jumps(ブロードジャンプ)
•水平方向に両足ジャンプ
•目的:ヒップ・ハムストリングスの爆発力強化
•実施:3セット × 5回
④ Lateral Sled Drags(ラテラルスレッドドラッグ)
•横方向にスレッド(そり)を引く
•目的:ラテラル方向の筋力+安定性
•実施:3セット × 20m/側
⑤ Lateral Cone Hops(ラテラルコーンホップ)
•横方向に連続ジャンプ
•目的:俊敏性・素早い接地
•実施:3セット × 10回/側



👨🏫 アスリートへの指導ポイント
1. ジャンプ力は「ただのジャンプ」じゃない
・力を生み出すフォーム
・エネルギーを効率的に伝える連動性
・接地と反発のスムーズな切り替え
すべてが求められる“全身のパワー表現”です。
2. 「ラテラル」を軽視しない
ピッチングは直線的に見えて、実は横方向の移動・力の伝達が極めて重要です。
3. 定期的な測定とフィードバック
・CMJ(カウンタームーブメントジャンプ)
・SJ(スクワットジャンプ)
・ラテラルホップテスト など
➡ 進捗の「見える化」が、モチベーション維持とトレーニングの質を高めます。
4. レベルに応じたプログレッション
・初心者:フォーム習得&着地練習から
・中級者~:バリエーション(メディシンボール、バンド、負荷追加)で段階的に強化
✅ まとめ
• ジャンプ力(特にラテラルジャンプ)は、ピッチングの球速と密接に関係
• 高校生では、垂直+横方向のプライオメトリクス導入が効果的
• 地面反力→全身連動→投球スピードへとつなげる土台が「ジャンプ力」
➡ ジャンプ力を鍛えることは、球速を伸ばすための「最短ルート」です!
📚 主な参考文献・研究
1. Deleon, J., DeWeese, B. H., Sams, M. L., & Hornsby, W. G. (2024)
タイトル:The Relationship Between Various Jump Tests and Pitching Velocity in Division I Baseball Pitchers
要点:
•ジャンプ能力と投球速度の関係性を、複数のジャンプテスト(垂直跳び、水平跳び、ラテラルジャンプなど)で検証。
• 特にラテラルジャンプと水平ジャンプが投球速度と中程度の正の相関を示した。
• 一方で、垂直跳び(CMJ)との相関は弱いまたは不明確であった。
•投球は直線的な動きに見えて、ラテラル(横方向)の力発揮が重要な要素であることが示唆される。
2. Lehman et al. (2013)
要点:
•投球における下半身の地面反力が上半身の投球速度に直接影響
•ラテラル方向のフォースも球速の決定要因とされる
3. Mercier et al. (2020)
タイトル: Individual factors associated with baseball pitching performance: scoping review
要点:
• ピッチングパフォーマンスは、身体的特徴(体重・年齢)および動作特性(肩の水平内転・体幹の側方傾斜・リード脚の膝角度など)と関連している。
• ジャンプテスト(垂直・ラテラルジャンプなど)などの下半身パワー指標は、球速と関連がある。
• 投球フォームの改善に加えて、筋力・パワーの評価と向上がパフォーマンス強化に有効である。
4. Manske et al. (2022)
要点:
• ラテラル・シングルレッグジャンプ(横方向の片脚ジャンプ)の成績と球速に有意な正の相関が認められた(特に後足側でのジャンプ能力)。
• 後足(drive leg)での横方向への爆発的動作が、投球中の地面反力発生と球速向上に重要である可能性が示唆された。
•下半身の一方向だけでなく横方向へのパワー発揮能力も、ピッチングパフォーマンスを予測するうえで有効な指標となり得る。
5. Donahue et al. (2018)
タイトル: RELATIONSHIP OF COUNTERMOVEMENT VERTICAL JUMP PERFORMANCE AND PITCHING VELOCITY
要点:
• プロ投手の球速は、単純なジャンプ能力よりも、投球メカニクスや全身の連動性に依存している可能性が高い。