あなたの競技に本当に効くオリンピックリフティング、全解説!
「あと一歩のパワーがあれば…」
「あの一瞬のスピードで勝てていれば…」
こんにちは!アスリートのパフォーマンス向上をサポートするS&Cコーチです。
現場で多くの選手やコーチと話していると、このような「あと一歩」の壁を越えたいという熱い想いに触れます。
その壁を打ち破るための、最強のトレーニングの一つが「オリンピックリフティング」です。
この記事では、
- なぜ、ただの筋トレじゃないの?
- ハング?パワー?クリーン?結局どれをやればいいの?
- 【超重要】そもそも、なぜ多くのアスリートは床からやらないの?
- あなたの競技に最適な「リフティング処方箋」
といった全ての疑問に、プロの視点から、どこよりも分かりやすくお答えします。
この記事を読めば、あなたのトレーニングの「なぜ?」が解消され、明日からの練習が間違いなく変わります!
第1章:そもそも、なぜ「オリンピックリフティング」が君を強くするのか?
まず大前提として、スポーツで活躍するために必要なのは、ただの「筋力」ではありません。
重いものをゆっくり持ち上げる力(筋力)だけではなく、その力を「一瞬で、爆発的に」発揮する能力(パワー)こそが、パフォーマンスを左右します。
オリンピックリフティングは、重いバーベルを「一瞬で」「全身を使って」持ち上げるトレーニング。
まさに、このパワーを養成するための専門種目なのです。
さらに、地面を蹴って生まれた力を、お腹周り(体幹)を通して、腕やボール、ラケットなどの道具へと伝える「力の伝達リレー」を劇的にスムーズにしてくれます。
このリレーが速く、力強くなることで、あなたのプレーは次のレベルへと進化します。
第2章:【アスリート最大の疑問】なぜ「ハングポジション(途中)」から始めるの?
ここで、多くのアスリートが抱く疑問に切り込みます。
「なぜ、ウエイトリフティングの選手みたいに、床から全部やらないの?」
それには、極めて明確な3つの理由があります。
理由①:動きが「競技の構え」に圧倒的に近いから
考えてみてください。野球の守備、バスケのディフェンス、テニスのリターン待ち…。
多くの場合、アスリートは軽く膝を曲げ、腰を落とした「パワーポジション(いつでも動ける構え)」から、次の一歩を踏み出します。
ハングポジションは、まさにこの「パワーポジション」を再現した状態。
実際の試合で力を発揮する場面とそっくりな姿勢から、爆発力を生み出す練習ができるのです。
アスリートの「構え」を再現したハングポジション。
ここからの爆発が、競技パフォーマンスを高める鍵です。
理由②:「瞬発力」の美味しい部分だけを鍛えられるから
床からバーベルを引き上げる最初の動作は、比較的ゆっくりとした「力強い」動きです。一方で、膝の上を通過してから一気に腰を爆発させる動作こそが、スポーツで使われる「瞬発力」の源泉。
ハングから始めることは、この最も爆発的で、最も美味しい部分だけを抜き出して、集中的にトレーニングするようなものなのです。
理由③:安全で、習得しやすいから
アスリートの本業は、あくまで自身の専門競技です。ハングポジションは、床からの引きがない分、覚えるべき技術が少なく、短時間で安全に習得できます。
腰を痛めるなどのリスクも減らせるため、賢い選択と言えます。
第3章:【実践への最終回答】ハングクリーン vs. ハングパワークリーン、決着をつけよう!
「ハングから始めるのは分かった。じゃあ、深くしゃがむのと、浅くキャッチするのはどっちがいいの?」 これも答えはシンプルです。
アインシュター博士
「目的によって使い分けるべきじゃ!」
ハングクリーン(深くキャッチ):ブレーキと土台作り
深くしゃがんで重さを受け止めるこの動きは、着地や衝突の衝撃を吸収する「ブレーキ能力」を鍛えます。- 得意技: 衝撃吸収、ケガ予防、総合的な筋力アップ
- こんな選手におすすめ: ジャンプと着地を繰り返すバレー・バスケ選手、コンタクトプレーが多いラグビー選手など。
- おすすめの時期: じっくり身体を作るオフシーズン。
ハングパワークリーン(浅くキャッチ):スピードとキレ
浅い位置でキャッチするため、バーベルをより速く、より高く引き上げる必要があります。これが、一瞬のスピード(キレ)を生み出す神経系を直接叩き起こします。
- 得意技: スピード、瞬発力、クイックネス向上
- こんな選手に: 加速が命のサッカー・野球選手、動きのキレを高めたい全ての選手。
- おすすめの時期: パフォーマンスの鋭さを高めたいシーズン中。
コーチの一言
オフシーズンは「ハングクリーン」で頑丈な土台を作り、シーズンが近づくにつれて「ハングパワークリーン」でその力をスピードに変換していくのがおすすめです。
第4章:【完全版】競技別・あなたに最適な「リフティング処方箋」
さあ、総仕上げです。あなたの競技に最適な「トレーニング」を選んでいきましょう!⚾️ 野球選手のための処方箋
- メイン処方 (これだけはやっておきたい!) ハングパワークリーン:投打の「タメから一気に出力を高める動き」に直結。爆発的な股関節のパワーが、スイング速度や球速を直接的に向上させます。
- サブ処方 (これもおすすめ!) ダンベルスナッチ:左右のバランスを整えながら、体幹と連動したパワー発揮を学べます。肩への負担もバーベルより少ないのが魅力です。
🏐🏀 バレーボール・バスケットボール選手のための処方箋
- メイン処方: ハングクリーン(深くキャッチ):高く跳ぶためのパワーはもちろん、着地時の衝撃を吸収する「ブレーキ能力」を養い、膝のケガを防ぎます。
- サブ処方 プッシュプレス / パワージャーク:下半身のパワーを腕まで伝える練習。ブロックで相手を押し込む力や、空中でのボディコントロールの向上に繋がります。
⚽️ サッカー選手のための処方箋
- メイン処方 ハングパワークリーン:サッカーで最も重要な「最初の3歩」の加速力を生み出すエンジン(お尻と太もも裏)をダイレクトに強化します。
- サブ処方 クリーンプル:キャッチ動作がない分、より重い重量で「地面を強く押す力」を鍛えられます。シーズン中のコンディション調整にも向いています。
🎾 テニス選手のための処方箋
- メイン処方 ダンベルスナッチ:サーブのように、地面を蹴った力を体幹→肩→腕へと連動させるパワーの伝達リレーを、非常に近い形で再現できます。
- サブ処方 ハングパワークリーン:短いステップから踏み込んで打つストロークのように、「短い助走から一気にパワーを生み出す能力」を高めます。
まとめ:最高の武器を、正しく、賢く使おう!
最後に、最も大切なことをお伝えします。オリンピックリフティングは、あなたのパフォーマンスを劇的に変える可能性を秘めた、まさに「最高の武器」です。
しかし、どんな強力な武器も、使い方を間違えれば自分を傷つけるだけ。
コーチの一言
- 決して自己流でやらないこと。
- 必ず専門知識のあるコーチやトレーナーの指導のもと、「正しいフォーム」を習得すること。
- 焦らず、軽い重量から始めること。
この約束を守れる選手だけが、オリンピックリフティングの本当の恩恵を受け取ることができます。
この記事をきっかけに、あなたのチームのコーチに相談したり、専門家を探したりしてみてください。
正しい知識と正しいフォームで、あなたの眠っているパワーを解き放ちましょう!





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